経営を行う際には、自社の売上や目標達成度など、指標のリアルタイムデータを常に把握しておくことが重要です。しかし、確認すべきレポートが多く分析に時間を割けないため、データを有効活用できていない企業も少なくありません。
こうした課題を解決し、数多くの複雑なデータを表やグラフで整理し、即座に理解できるようにしてくれるのが、KPIダッシュボードです。主要業績評価指標(KPI)を集約し、一目で把握できるようにすることで、迅速な意思決定や生産性の向上に役立ちます。
この記事では、KPIダッシュボードとは何か、活用の仕方や作成方法などを解説しています。KPIダッシュボードを活用してKPIを可視化し、ビジネスの目標達成度の把握やマーケティング戦略立案に活用しましょう。

KPIダッシュボードとは
KPIダッシュボードとは、企業の重要業績評価指標(KPI)を視覚的に表示するツールです。重要な指標のリアルタイムデータがわかりやすいグラフなどの形式で1カ所にまとめられているため、目標達成度や計画の進捗が一目でわかります。
KPIダッシュボードには、リアルタイムのコンバージョン率、期間比較、データの全体的な傾向を示すトレンドラインなどの幅広い指標を掲載できます。重要な情報のみが表示されるため、一つずつ詳細を確認しなくても、データに基づいた迅速な意思決定が行えます。
KPIダッシュボードを活用するメリット
- データをリアルタイムで可視化できる:リアルタイムデータがグラフなど視覚的にわかりやすく整理されているため、すぐに現状を把握できます。
- 意思決定を迅速に行える:判断材料となるデータが1カ所に揃っているため、さまざまなレポートを見比べる必要がなく、即座に決断できるようになります。
- 業務効率向上につながる:基本的にデータが自動で収集されるため、データ収集や分析、レポート作成に割いていたリソースを別の業務に活用できます。また、日常業務をKPIダッシュボードで可視化して管理することで、合理化できる部分を発見できる可能性があります。

KPIダッシュボードの種類
経営幹部向けKPIダッシュボード
経営幹部向けKPIダッシュボードは、企業運営において最も重要な指標のみを表示するダッシュボードです。主に財務実績など、経営判断を行うために重要なKPIをリアルタイムで可視化でき、現状把握と意思決定を迅速化できます。
EC事業においては、経営幹部向けダッシュボードに掲載するKPIは主に以下のようなものがあります。
Shopify(ショッピファイ)を利用している場合、ストア分析の概要ダッシュボードをKPIダッシュボードとして利用できます。リアルタイムで更新されるレポートを自由にダッシュボードに配置でき、表示期間や目標値などを指定すると、目標達成度がすぐに把握できます。
マーケティングKPIダッシュボード
マーケティングKPIダッシュボードでは、マーケティング分析をする際に必要となる、キャンペーンの目標達成度やマーケティングチャネルの効果を把握できます。
個別に確認しなければならなかったGA4やSNSなどのデータを、マーケティングKPIダッシュボードに一元化すると、チャネル間の比較もできるようになります。
EC事業者がマーケティングKPIダッシュボードを作る場合、主に以下のようなKPIの掲載がおすすめです。
- トラフィックソース別のセッション数
- ECサイトのコンバージョン率
- トラフィックソース別の売上
- SNSのエンゲージメント
- メールのエンゲージメント
Shopifyのレポートでは、各チャネルの売上やチャネルごとのセッション数を比較することも可能です。
営業KPIダッシュボード
営業KPIダッシュボードでは、売上に関する主要指標が可視化できます。売上目標の達成度、売上に影響しているチャネル、リード獲得から受注に至るまでの進捗などが一目で把握できます。
EC事業に適した主な営業KPIダッシュボードのKPIは以下のとおりです。
- 平均注文額
- 販売チャネル別売上高
- トラフィックソース別の売上
- 売れ筋商品
- 総売上
Shopifyのレポートを利用してKPIダッシュボードを作成すると、上記のKPIをすべて自動的に追跡できます。実店舗がある場合は、POS端末別の売上やスタッフ別の売上など、別の指標を追加することも可能です。
B2Bの営業部門であれば、CRM(顧客関係管理ツール)や営業支援ツールを活用することで、以下のような指標を可視化できます。
- 受注率
- 受注までに時間のかかった案件
- リードコンバージョン率
- リード獲得から受注に至るまでの進捗状況
- 各営業担当者の業績
運用KPIダッシュボード
運用KPIダッシュボードは、日常業務の管理や最適化に役立ちます。主に以下のような部門ごとのKPIの掲載がおすすめです。
- 注文処理の進捗
- 顧客満足度
- 直帰率
- 総売上
- 在庫回転率

KPIダッシュボードの作成方法
1. プラットフォームを選定する
まずはKPIダッシュボードのプラットフォームを選定しましょう。
既存のKPIダッシュボードのプラットフォームを利用すると簡単に作成できます。主なプラットフォームには、Tableau(タブロー)やDomo(ドーモ)、mieru(ミエル)などがあります。または、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトにデータを手動で取り込んでも作成可能です。
Shopifyを利用している場合は、ストア分析の概要ダッシュボードをカスタマイズして、任意のレポートを集約できます。
2. 追跡するKPIを選択する
KPIダッシュボードに掲載する指標は、自社の目標に適合するものを選択しましょう。売上増加であれば平均注文額(AOV)、マーケティング効率の向上の場合は顧客獲得コスト(CAC)、顧客関係の向上を目標とする場合は顧客生涯価値(CLV)など、目標達成のために追跡する必要があるKPIをダッシュボードに追加します。
ビジネス目標に必要なKPIを特定できていない場合は、まずプラットフォームがデフォルトで掲載している指標からスタートし、ビジネスの成長に合わせて追加や変更を行うとよいでしょう。
3. データソースと連携する
指標決定後、Google検索やECプラットフォームなど、データ追跡に必要なソースをKPIダッシュボードと連携させます。
Shopifyを利用している場合は、セッション数、注文数、チャネル別売上、顧客行動など、ECサイトのすべてのデータがストア分析のダッシュボードに自動的に取り込まれます。また、Google、Meta(メタ)などを利用したキャンペーンのマーケティング費用や売上データも、Shopify内で直接確認できます。
4. データの表示方法を選択する
KPIダッシュボード上に配置する指標は、一目で達成度や推移が把握できるように、KPIごとに最適な表示方法を選択する必要があります。
たとえば、売上の推移を知りたい場合に適切な表示方法は、円グラフではなく折れ線グラフや棒グラフになるでしょう。その他、データの表示方法は主に以下のようなものがあります。
- 放射状ゲージ:目標値と現在の実績を一つのデータに示す場合など
- プログレスバー:目標達成や処理完了までの進捗を視覚化したい場合など
- テーブル:詳細な数値の確認や比較をしたい場合など
- スコアカード:目標値と結果を比較したい場合など
5. 適切な表示期間を指定する
KPIごとの目標達成度を確認する頻度に合った表示期間を選択します。たとえば、生産性の向上や業務改善を目標にKPIを測定する場合、日次や週次といった短い期間を設定する必要があります。一方で、長期的な傾向や事業目標の達成度を把握するために、月次または四半期ごと、年単位での測定が必要な場合もあります。必要に応じて表示期間を変更し、分析の解像度を調整しましょう。

KPIダッシュボード作成で意識すべきポイント
KPIを厳選する
データが多すぎるとダッシュボードが煩雑になり、重要な情報を見逃しやすくなる可能性があるため、最重要なKPIのみを厳選して配置しましょう。
関係者の中で頻繁に発生する疑問を把握し、それに回答できるデータを選択します。たとえば、最もコンバージョン率が高かったマーケティング施策を知りたい場合は、クリック率など関わりの深い指標を掲載します。さらに精密な分析をする際に必要になる指標は部門ごとのダッシュボードに掲載し、遷移できる設計にするとよいでしょう。
デザインに注力する
ダッシュボードのデザインが優れていると、重要な指標がすぐに把握でき、操作も直感的に行えるため、迅速な経営判断や業務改善につながります。
指標を理解するのに時間がかかったり、計算が必要になったりする場合はデザインを見直す必要があります。配置にゆとりを持たせ、ラベルを明確に添付したり、フォントを統一したりすることなど、些細な改善でも視認性が向上します。フィルター機能やドロップダウンリスト、ホバーなど、ユーザーの操作によって情報が変化する機能を活用すると、デザインを保持しながら利便性を向上させられます。
テンプレートを利用する
ゼロからダッシュボードを構築するより、自社の目標に近いテンプレートを利用してカスタマイズしましょう。
既存のテンプレートは使いやすいように計算されたデザインのものが提供されており、自分でレイアウトなどを考える必要がないため、データソースとの連携後すぐに使い始められます。ShopifyのようなECプラットフォームやGoogleデータポータルのようなBIツールでは、多くの場合KPIダッシュボードのテンプレートが提供されているので積極的に活用しましょう。
比較対象となるデータを掲載する
データが単独で提示されると、現状を瞬時に把握することが難しくなる場合があるため、期間比較や折れ線グラフ、ベンチマークなど、比較対象となるデータを追加しましょう。
たとえば、実施したマーケティング施策の結果を知りたい場合、「今月の売上は100万円」といった単独の数字を提示するより、先月の売上や目標金額などと比較できる方が、増減が明確になり成否がすぐに把握できます。
まとめ
KPIダッシュボードとは、重要な指標(KPI)を1カ所に集約して、目標達成度や業績をわかりやすく視覚化してくれるツールです。目的別に必要な最新データを可視化し、即座に把握できるようにすることで、データに基づく経営判断や改善、問題の発見を迅速に行えます。また、KPIダッシュボードは自動でリアルタイムデータを取得して表示するため、それまでデータ収集や分析に割いていた時間や人手などのリソースが不要になり、さらなる業務効率化が期待できます。
本記事を参考に、自社の目的に合致するKPIダッシュボードを作成し、ビジネスの現状把握やマーケティング戦略の策定に活用してください。
KPIダッシュボードに関するよくある質問
KPIダッシュボードとは?
KPIダッシュボードとは、企業の重要業績評価指標(KPI)を集約して、目標達成度や業績が一目でわかるようにしてくれるツールです。
KPIダッシュボードを使用するメリットは?
KPIダッシュボードを活用するメリットは、データをリアルタイムで可視化できることで、経営陣はデータに基づく経営判断を迅速に行えることです。また、データ収集や分析に割く時間や人手が不要になり、業務効率が向上します。
KPIダッシュボードの作成方法は?
- プラットフォームを選定する
- 追跡するKPIを選択する
- データソースと連携する
- データの表示方法を選択する
- 適切な表示期間を指定する




